こんにちは。KUSANAGI 開発チーム、プロダクトマネジャーの相原です。
2026年3月2日から3日にかけて、Claudeへのアクセス集中による障害が連続して発生しました。SNSでは「Claude 落ちてる」という投稿が相次ぎ、Geminiでも不安定な状態が報告されていました。
わたし自身、普段通りに使おうとしてつながらず、最初に感じたのは「困ったなぁ」という率直な感想でした。複数の生成AIを契約しているので、使えるものにタスクを移しながら作業を続けることはできましたが、生成AIがすでに社会基盤の一部になりつつあることをあらためて実感しました。
インフラとしての生成AI
多くのオンラインサービスは、共通のクラウド基盤の上で動いています。AWSやCloudflareで大きな障害が起きるたびに、その依存関係の広さが浮き彫りになります。今回の生成AIの障害も、それに近い構造を感じさせる出来事でした。
ClaudeやGeminiも、すでにさまざまなプロダクトや業務フローに組み込まれており、どこかが止まると思わぬところで連鎖的に影響が出ます。
一方で、サービスを提供する側としては、決して他人事ではないと感じました。プロダクトへのAI機能の組み込みや業務のAI化を進めている立場として、依存度が高まるほど冗長性や代替手段の設計も考えなければならないことを、あらためて意識させられました。
WordPressのエコシステムが教えてくれること
こうした状況を見ていると、WordPressの歴史を思い出します。
WordPressのセキュリティ統計を見ると、脆弱性の大部分がプラグインやテーマに由来しています。コア本体ではなく、エコシステムとして追加されたものが、攻撃の入口になりやすいのです。
公式のプラグインディレクトリには審査がありますが、それでも脆弱性がゼロになるわけではありません。非公式のいわゆる「野良プラグイン」には悪意のあるものが紛れ込む可能性もありますし、開発の引き継ぎやサプライチェーンの中で意図せず危険なコードが混入するケースもあります。
また、善意の開発者が作ったものでも、メンテナンスが止まったり、セキュリティの考慮が不十分だったりすることもあります。エコシステムが便利になるほど、注意の及ばない範囲も広がっていきます。
AIエコシステムの広がり
生成AIの世界でも、エコシステムは急速に広がっています。
MCP(Model Context Protocol)のような共通仕様が登場し、「ツール」や「エージェント」を外部から追加・連携できる仕組みが整いはじめました。ChatGPTではGPT Storeが公開され、Claudeでもエージェント機能の拡張が進むなど、AIの能力を外部ツールで拡張する取り組みが各社で進んでいます。
目的に合ったツールやスキルを組み合わせることで、AIの能力を大きく拡張できるようになりました。使う側にとっては、スマートフォンのアプリストアで気に入ったアプリをインストールするようなものです。
便利さは確実に増しています。ただし、構造としてはWordPressのエコシステムに近い特徴も見えてきています。
使う側のリテラシーも問われる
WordPressでは「評価の高いプラグインを選ぶ」「更新が止まっていないか確認する」「不要なプラグインは入れない」といった基本的な運用の考え方が、長い時間をかけてユーザーの間に定着してきました。
生成AIのエコシステムでも、同じようなリテラシーが求められるようになるでしょう。どのツールやスキルを選ぶのか、どこまでの権限を与えるのか。AIをプロダクトに組み込む場合や業務に利用する場合は、特に慎重な判断が必要になります。
インフラになったからこそ
生成AIが落ちると困るという体験は、不便であると同時に、ひとつの成熟のサインでもあると感じています。
エコシステムが広がり、豊かになるほど、信頼性や安全性への問いも深くなります。WordPressの歴史がそれを示しています。生成AIの世界でも、便利さと安全性を両立させる仕組みをこれから整えていく必要があります。
私たちも引き続き、安心して使える基盤のあり方を考えていきたいと思います。


