速さの理由を知る。安全の仕組みを知る。WordPress運用の「なぜ?」を解く技術コラム。

イベントレポート:Tokyo WordPress Meetup 「WordPress 7.0リリース & 固定ページの実装方法について話そう」

相原 知栄子
WordPress

こんにちは。KUSANAGI 開発チーム、プロダクトマネジャーの相原です。

先日開催された「東京WordPress Meetup 5月勉強会」に登壇者の一人として参加してきました。今回のテーマは「WordPress 7.0リリース & 固定ページの実装方法について話そう」。非常に熱気あふれる勉強会となりましたので、当日の様子やセッションの内容をレポートします!

AIで作成したダイジェスト動画です。本編はこちらから。ぜひご覧ください!

WordPress Meetupとは?コミュニティの意義

皆さんは「WordPress Meetup」をご存知でしょうか? 世界99カ国、約50万人が参加しているWordPressの公式コミュニティで、日本国内だけでも札幌から沖縄まで27の支部があります。東京支部の中にも、八王子やフォトウォーク、AIをテーマにした会などさまざまな活動があり、すべて有志のボランティアによって運営されています。

  • 世界規模のネットワーク: 現在、世界99カ国、日本国内だけでも27の支部で展開されており、50万人近いユーザーが参加しています。
  • 全員がボランティア: 運営スタッフや登壇者はもちろん、会場提供などの協力によって、このオープンな学びの場が維持されています。
  • オープンでフラットな文化: スキルの高低に関わらず誰もが歓迎される場です。セッションの合間には参加者同士の自己紹介(ネットワーキング)も行われ、直接的な交流を通じて知識を共有し合う文化が根付いています。

WordPressの制作手法(特にブロックエディタの活用など)については、インターネットで検索しても古い情報や偏った情報源・ノウハウ記事などに行き着いてしまい、最新の公式情報やベストプラクティスに辿り着くのが難しいという現状があります。ミートアップに参加することで、第一線で活躍する人たちの「生きた知識」に触れ、直接疑問をぶつけたり、仲間と情報交換できることが、このコミュニティの最大の意義であり魅力だと感じています。

Tokyo WordPress Meetup とは by 橋本義光さん

WordPress 7.0の新機能とAIが切り拓く未来

私からは、ちょうどイベント当日にリリース予定だった「WordPress 7.0」の新機能について、実際の管理画面を使ったデモ形式で解説しました。ちなみに、プレゼン用のスライドも実はWordPressのテーマを使いました。ページャーにJSを仕込んでキーボードでページ送りできるようにして、いかにもスライド操作をしているように見せるという(無駄な?)努力をしています。今回のテーマでもあるブロックエディタでどこまでできるかをみてもらいたいなぁ、という隠れた意図でもありました。

管理画面の新機能ツアー

セッション前半は管理画面系の新機能について、実際の画面操作を交えたツアーを行いました。

配色の微調整とUIの向上:管理画面の配色が微妙に変更され、線が滑らかになり、画面遷移(トランジション)が入るなど、視覚的なアップデートが行われました。また、検索機能も強化され、目的の管理画面へ素早く移動できるようになっています。

ビジュアルリビジョン:これまでの別画面での比較とは異なり、ビジュアルエディター上で直接変更点を確認できるようになりました。画像を削除した箇所が赤く表示されたり、取り消し線が入ったりと、視覚的に変更箇所が分かりやすくなっています。

レスポンシブ編集モード:これまでプラグインやテーマに依存していた機能がコアに組み込まれました。例えば「デスクトップのみ表示する画像」「モバイルのみ表示する画像」といったコントロールが、エディター上でデバイスのプレビューを切り替えることで簡単に設定・確認できます。

フォントライブラリー:テーマの外観メニューに「フォントライブラリー」が追加され、テーマを変更しても同じフォントを使い回せるようになりました。Googleフォントを直接インストールしたり、フォントをアップロードしたりすることも可能です。

ブロックの表現力強化

  • パンくずリスト:これまでプラグイン頼りだったパンくずリストが、標準のブロックとして個別ページやテーマ内に配置できるようになりました。
  • カスタムCSS:段落などのブロックごとに、直接カスタムCSS(マージンの調整など)を記述できるようになりました。非常に便利ですが、「後からどこに何を書いたか分からなくなる懸念もあるため、管理には注意が必要だ」ということもお話ししました
  • 見出しとアイコン:見出しブロックのレベル(H2やH3など)を即座に変更できるUIが追加されたほか、多数のSVGアイコンが標準で使えるアイコンブロックがライブラリ付きで実装されました。

AI機能の統合(WP AIクライアントとアビリティ)

今回の目玉はなんといってもAI機能です。WordPressコアが特定のAIモデルを強制するのではなく、ユーザーが「Gemini」「OpenAI」「Anthropic」など使いたいAPIキーを自由に登録できる柔軟な設計になっています。

  • 特定のベンダーに依存しない構造: ユーザーが自身のAPIキー(OpenAI, Gemini, Anthropicなど)を使い分けることが可能です。
  • アビリティAPIとAIクライアント: 「抜粋の作成」や「タイトルの提案」などの機能を「アビリティ」として定義。
  • MCP(Model Context Protocol)の活用: WordPress外部のクライアント(ChatGPTやClaudeのデスクトップアプリなど)からWordPressを操作可能にする架け橋として機能。
  • Ability Explorer(アビリティエクスプローラ): 管理者はAIが具体的に何を実行できるのかを一覧で確認し、テストすることが可能。
AIプラグインの実験的機能で記事のタイトルを生成
Ability エクスプローラ

自作Abilityのデモ

サーバ状況を取得してAIが解説する自作のAbilityのデモも行ないました。
デモはAbility エクスプローラ上での簡易的なものでしたが、このようなAbilityをプラグインや外部のAIで利用することで運用の幅がひろがるイメージは持っていただけるのではないでしょうか。

Get Server Metrics:サーバの状況を取得
Get Server Metricsの結果をAIで解説するAbility
AIの解説

アップデートとAI運用の注意点

最低要件がPHP 7.4に引き上げられたため、事前の環境チェックが必須です。

AI機能については、APIの使いすぎ(課金増大)を防ぐための利用制限や、キーの使い回しを避けること、そして今まで以上に管理画面の権限管理を徹底することが重要です。

AIをどう使い、育てていくか。ユーザーの取り組みで未来が変わっていく。OSSの素晴らしさだと思います。

各登壇者による「固定ページの実装方法」徹底解剖

SNSでの「ページ専用テンプレート(page-slug.php)へのベタ書き」に関するバイラルツイートをきっかけに、3名の登壇者がそれぞれの哲学をぶつけ合いました。

森山真祐子さん: 「固定ページのそもそも」

テンプレート階層の基本を再確認しつつ、なぜ「ハードコード(ベタ書き)」が選ばれるのかを分析。デザインの複雑さやクライアントに触らせたくない事情はあるものの、ハードコードは「サイト内検索にヒットしない」「管理画面から編集できない」といったCMSとしての価値を損なうリスクがあることを指摘しました。

高橋文樹さん:「HTMLがベタ書きPHPになってしまう理由」

「テンプレートは少ない方がいい」という理想を持ちつつも、制作現場での「大人の判断」を、仮想の不動産企業「東亜ホールディングス」とデザインファーム「青山ヘルベチカ」のケーススタディでユーモアたっぷりに解説。ブランディングを極限まで重視し、LottieやGSAPを多用するデザインファームとの連携において、ブロック化のコストと納期を天秤にかけた結果、あえてベタ書きを選択せざるを得ない「現場のリアル」を語りました。

川井昌彦さん:「コードが書ける人向けのブロックエディター」

かつては「プロならpage.phpで書くもの」と考えていた川井さんは、現在のブロックを「素直なHTMLジェネレーター」と定義。コードが書ける人向けの「3分間クッキング」的ワークフローを伝授しました。

  1. カスタムHTMLブロックに静的HTMLをベタ貼り。
  2. セクションごとにブロックを分割。
  3. グループ化(divタグでの囲み)を活用し、IDやクラスを付与。
  4. 段階的にコアブロック(見出し、段落、画像など)へ変換。 特に画像ブロックを使えば、面倒なsrcset(レスポンシブ画像)の生成をWordPressが自動で行ってくれるため、手書きよりも効率的であるというメリットを強調しました。

パネルディスカッション:「page-xx.phpの世界に閉じ込められし者と解き放たれし者」

かんさん、くーつさん、よしおさんによるトークでは、現場の「本音」と「変化」が語られました。

  • 「アンラーニング(学習の棄却)」の必要性: 多くの教材がいまだに「静的HTMLをPHP化する」手法を教えているため、そこから「ブロックエディターでの構築」へ思考を切り替えるには、これまでの習慣を捨てる痛みが必要だという議論になりました。
  • メンテナンス性と負債: 制作会社の現場では、Lightningなどのテーマをベースにしたブロック主体の方針(標準化)が主流になりつつあります。これは「自分がいなくなった後のメンテナンス性」を考慮した、プロとしての責任ある選択でもあります。
  • コミュニティを通じた情報収集: 検索エンジンの古い情報に惑わされず、公式ドキュメントやX(旧Twitter)、そしてこのMeetupのような場で「生の情報」に触れることが、技術的な迷いから脱却する近道であると強調されました。

おわりに・今後のWordPress Meetupのご案内

全体を通して、WordPressの最新機能への期待と、日々の制作現場のリアルな悩みが交差する、非常に濃密で学びの多い勉強会でした。

WordPress Meetupでは、一方的な講義だけでなく、今回のようなパネルディスカッションや懇親会を通じて、リアルなつながりや最新の情報交換ができます。

東京地区の今後の予定として、毎月第2土曜日に「八王子WordPress Meetup」(次回はオンライン開催)が行われるほか、6月6日(土)には写真を撮ってWordPressにアップして楽しむ「フォトウォーク」のイベント、6月11日(木)には「AI を使って WordPress サイトを管理しよう — ハンズオンセッション」が予定されています。

一人で悩んでいる方、最新のトレンドを知りたい方は、ぜひ一度WordPress Meetupに参加してみてはいかがでしょうか?コミュニティで新しい発見や仲間がきっと見つかるはずです!
Tokyo WordPress Meetup:https://www.meetup.com/ja-JP/tokyo-wordpress-meetup/
日本の WordPress Meetup リスト:https://ja.wordpress.org/team/handbook/meetup-organizer-handbook/japan-wordpress-meetup/

最後はWordPressの「W」ポーズで締めくくり

写真撮影:TORIYAMA Yuko
ありがとうございました。

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