KUSANAGI の初期設定
仮想マシンにログインできたら、初期設定を行います。
初期設定には専用の「KUSANAGIコマンド」を使用します。
「KUSANAGIコマンド」は、初期設定のほか、Webサーバーの切替え、キャッシュの制御なども行えるKUSANAGI専用のコマンドです。
ここからの手順ではWordPressが利用できる状態になるよう準備を行う手順について説明します。
はじめに
KUSANAGIコマンドのフルパスは /opt/local/bin/kusanagi です。
初期設定の実行の前に
KUSANAGIコマンドによる初期設定を行う前に、まずCentOS Stream 8/AlmaLinux OS 8やKUSANAGIシステムのアップデートを dnf を利用して行います。
root ユーザーへ切り替えて次のように入力し、アップデートを開始します。
# dnf upgrade -y
アップデートが完了したら、次のように入力し、一度サーバを再起動します。
# reboot
Microsoft Azure の場合は、Microsoft Azure ポータルより仮想マシンの再起動を行います。
一度接続が切れますので、再度ログインしてから root ユーザーへ切り替え、初期設定の実行へ進みます。
初期設定の実行
KUSANAGI仮想マシンにおけるLinuxやデータベースのユーザーパスワードの設定、変更を行います。
# kusanagi init --passwd "パスワード" --nophrase --dbrootpass "パスワード" --nginx123 --php80 --mariadb10.5
オプションには必須のオプションと任意のオプションがあります。
オプションの内容については以下で説明します。
注意事項
1. TLS用ホスト鍵ファイルの生成
TLSセッションチケットファイル、DH(Diffie-Hellman)鍵交換で使用するパラメータファイルを生成します。
これらのファイルは /etc/opt/kusanagi/ssl 下に生成され、すでに生成しているときは再生成しません。
マシンの性能によっては、このファイル生成に数分かかることがありますので、ご注意ください。
必須のオプション
1. ユーザーパスワードの設定
ユーザー kusanagi のパスワードの設定を行います。
オプション --passwd パスワードを指定すると、ユーザー kusanagi のパスワードとして指定したパスワードを設定します。
オプション --passwd の指定は必須で、省略できません。
--passwd "パスワード"
2. 鍵認証の設定
ユーザーkusanagi のSSHユーザ鍵の作成を行います。
オプション --phrese フレーズを指定すると、SSHユーザ鍵のパスフレーズとして指定したフレーズを設定します。パスフレーズには5文字以上の文字列を指定してください。
オプション --nophrese を指定すると、SSHユーザ鍵のパスフレーズとして空文字列を設定します。
オプション --phrase または オプション --nophrase のいずれかの指定は必須で、省略できません。
--nophrase
このタイミングで鍵認証に必要な公開鍵がルートディレクトリ(/root)にkusanagi.pemとして生成されますので、初期設定完了後、必要に応じてダウンロード等を行ってください。
3. MySQL rootパスワードの設定
MySQLのrootパスワードを設定します。
オプション --dbrootpass パスワードを指定すると、MySQLのrootパスワードとして指定したパスワードを設定します。このパスワードには、アルファベット大文字小文字、数字、「.!#%+_-」のいずれかで構成される 8文字以上の文字列を設定してください。
オプション --dbrootpass の指定は必須で、省略できません。
--dbrootpass "パスワード"
任意のオプション
1. Webサーバの選択
起動するWebサーバをnginx、httpd(Apache) から選択します。
オプション --nginx123 を指定すると nginx 1.23 が、オプション --nginx122 を指定すると nginx 1.22 が、オプション --httpd24 を指定すると httpd(Apache2.4) が起動します。
オプション --nginx123、--nginx122、--httpd24 を複数指定できません。
省略した場合は nginx 1.25 となります。
--nginx123
以下のオプションは廃止されたオプションになります。
- 9.2.10で廃止
オプション --nginx121 を指定すると nginx 1.21 が、オプション --nginx120 を指定すると nginx 1.20 が起動します。 - 9.0.12で廃止
オプション --nginx119 を指定すると nginx 1.19 が、オプション --nginx118 を指定すると nginx 1.18 が起動します。
2. PHPの選択
使用するPHPのバージョンを選択します。
オプション --php81 を指定すると PHP8.1 が、 --php80 を指定すると PHP8.0 が、--php74 を指定すると PHP7.4 を使用します。
オプション --php81 --php80、--php74を複数指定できません。
省略した場合は PHP8.1 となります。
--php80
以下のオプションは廃止されたオプションになります。
- 9.1.13で廃止
オプション --php73 を指定すると php7.3 を使用します。
3. MariaDBの選択
使用するMariaDBのバージョンを選択します。
オプション --mariadb10.3 を指定すると MariaDB 10.3 が、オプション --mariadb10.4 を指定すると MariaDB 10.4 が、オプション --mariadb10.5 を指定すると MariaDB 10.5 が、オプション --mariadb10.6 を指定すると MadiaDB 10.6 が、オプション --mariadb10.7 を指定すると MadiaDB 10.7 が、オプション --mariadb10.8 を指定すると MadiaDB 10.8 が、オプション --mariadb10.9 を指定すると MadiaDB 10.9 を使用します。
オプション --mariadb10.3、--mariadb10.4、--mariadb10.5、--mariadb10.6、--mariadb10.7、--mariadb10.8、--mariadb10.9 を複数指定できません。
省略した場合は MariaDB 10.5 となります。
なお、 MariaDB 10.7 と MariaDB 10.8 と MariaDB 10.9 は1年間の短期サポート (short-term support) です。
--mariadb10.5
初期設定の完了
オプションを指定してコマンドを実行します。
次のようなメッセージが表示されれば、初期設定は完了です。
# kusanagi init --passwd "パスワード" --nophrase --dbrootpass "パスワード" --nginx123 --php80 --mariadb10.5 (途中省略) init completed.
これで初期設定は完了です。
続いてKUSANAGIのプロビジョニングへ進みます。
初期設定コマンド及びオプションの詳細は、kusanagi initのページを参照してください。